以前、同級生に「空手とキックボクシングの両方を教えているの?」、「空手の試合でキックの選手と対戦することがあるの?」といった疑問を持たれたことがあります。
確かに、今でも 見学・体験に来た方から「空手とキック、どっちをやるんですか?」「キックやるのに空手衣を着るんですか?」的な質問が時々あります。
新しく入塾された方も多くなりましたので、道場生の皆さんに その位置関係を正しく理解していただけるように、そのときに当欄でまとめたものを加筆・再掲します。
まず、空手には、護身術等、ルールに縛られない広義での空手と、スポーツ競技としての、ルールが規定された狭義での空手があります。
狭義の空手には大別して、自由組手(試合)の際、攻撃を当てても良いルール(直接打撃制・フルコンタクト空手)と、当ててはいけないルール(伝統派・寸止め)があります。
さらに、攻撃を当てて良い場合でも、手技(突き)での上段(顔面)への攻撃を認めるか認めないかでも分類されます。
超越塾では、一般部は実戦性を考慮し「手技による上段攻撃有り」、少年部は安全性を優先させ「手技による上段攻撃無し」としていますが、いずれも直接打撃制(フルコンタクト)で戦うルールを基準に学んでいます。
一方、ボクシング・キックボクシング・ムエタイの違いですが、まず、蹴りを認めるか認めないかで大別されます。
勿論、ボクシングは手技(パンチ)だけで戦います。
ムエタイは、蹴りも認められます。
したがって、タイ国の伝統的な競技・ムエタイを「タイ式ボクシング」、世界で一般的に行われているボクシングを「国際式ボクシング」と呼ぶ場合もあります。
キックボクシングは、ボクシングのプロモーターが よりエキサイティングな競技を新たに作ろうということで考案した、日本生まれの興行スポーツです。
「立ち技最強」を名乗るムエタイを参考に 蹴りも認められたため、ボクシングより空手家から転向する選手が多かったようです。
プロが先にできたため 最初はアマチュア対象のキックジムがなく、空手道場とキックジムが併設された場所で一緒に練習し、アマは空手・プロはキックの試合に出場するようになったのが キックボクサーを目指す選手が空手衣を着て空手の試合に出るようになった理由です。
また、日本には柔道出身者が多くいたことから 初期は投げなどもあったため、アニメ「キックの鬼」の3番の歌詞には「一本背負い」という言葉が入っています。
その後、キックボクシングでは禁止となりましたが、シュートボクシングという競技で投げが解禁となりました。
さらに後には、上段への肘打ちを認めるムエタイ・キックボクシングに対して、肘打ち無しのK-1なども生まれました。
ルール(認められる技の範囲)を基準に、おおまかに図式化すると、こんなイメージです(競技としての優劣を示す指標ではありません)。
競技としての少年部の空手 ⊂ 競技としての一般部の空手≒アマチュアキック≒アマチュアK-1 ⊂ プロK-1系 ⊂ プロキックボクシング≒ムエタイ ⊂ 広義の空手
超越塾蓮田支部では、いきなり範囲を広げてしまうと覚え切れないので、最初は競技としての空手を目指して稽古してもらいます。
しかし、広義の空手には、肘打ち・膝蹴り・組技(首相撲・関節技等)まで含まれますので、もっと学びたい方は道場で稽古できますし、その力量を試したい方は キック・K-1系のプロへ進んでください。
その過程で 空手やキックの試合に出場しますので、キックの選手が顔面パンチ有りの空手に出場してきて対戦する場合もありますし、その逆もあると思ってください。
結論をいうと、超越塾蓮田支部の空手はフルコンタクト空手(しかも顔面パンチあり)なので、空手の技術もキックの技術も学べます。
習熟度に応じて 各競技に段階を追って挑戦できますので、試合に出たい方は道場生として ふたつを区別せずに練習していってください。
道場名の由来には「ルールを超越した強さを目指す」という意味もありますので、黒帯になって、さらに広義の空手を追及していただくのも大歓迎です。
実際、私や塾長の染谷は、寝業を含む徒手格闘技(自衛隊が白兵戦用に練習している格闘技)の大会などにも出場していましたから、皆さんも高みを目指して いろいろ挑戦してみてください。
コメントをお書きください